日本選手権(棒高跳)

6月25日、ヤンマースタジアム長居(大阪)で行われた日本選手権に出場しました。

今シーズンは、例年に比べて数多くの試合に出場していますが、日本選手権の緊張感は他の試合とは全く違い、数日前からソワソワし、アップの前から上がっているのが分かりました。この緊張感は何度出ても慣れません。やはり日本一を決める大会は特別だと感じました。

結果は、4m10で4位でした。

試合の3週間前に今の感覚のまま練習を続けていても高く跳べないような気がするという気持ちが沸き起こり、冬の間に一貫して継続してきた練習とは、全く異なる意識で跳ぶ練習に切り替えました。一番大切な試合を目前にして、方法を変えるという選択はとても勇気のいることで、「今やるべきなのか?」という葛藤がありました。普段試合期にはできるだけ実戦に近いポール長さや助走キョリで練習をするのですが、変えると決めてからは、実戦より短いポール短い助走で、ひたすら基本練習をしました。どうなるか不安な気持ちで取り組み始めたものの、意識する場所を変えてからの練習はとても充実していて、疑問を抱きながら練習し続けるよりもずっと挑戦してみてよかったという気持ちで試合に臨むことができました。

日本選手権の緊張感の中では、想像していた以上に自分の感覚を感じ取ることは実際には困難であり、やはりそんなに甘くないなと思いました。試合直後は、順位や結果に対する悔しさというよりも自分のやりたかったことができなかったことへのもどかしさのほうが強かったです。日本一を決める大会で4位という結果を受けとめるとともに、ずっと目標にしてきた五輪開催年の日本選手権で記録を伸ばすことに及ばなかった現実も受けとめる必要があります。

「なぜ自分は陸上をしているのか」、「何のために棒高跳をしているのか」試合を終えてから考える時間を取りました。五輪開催が決まってからの8年間を、自分のできないことにばかり目を向け、無いものを補うように足し算をしていこうとする陸上をしていました。そして、理想と現実を比べることで「とにかくツラい、できない自分がキライ」と感じている時間が実に多いと感じていました。五輪が延期になってからの一年間は、できることにだけ取り組もう(できないことは取り除く)とする引き算の陸上に変わっていきました。理想ではなく今の自分と向き合うことで、心がとても楽になりました。

そして、日本選手権を終えた今、ツラい思いをするために競技を続けているわけではないし、気持ちさえ楽なら記録は何でもいい、負けてもいいと思って競技を続けているわけでもないと思いました。

「私は自分らしくいながら、より高く跳べる、勝負に勝てる選手になりたいです!」

残りのシーズン一試合一試合、「私は本気を出した」、「私にはもう可能性なんてこれっぽっちも残ってない」ぐらいに、そう思えるような試合をしたいです。

会社ではたくさんの方が「惜しかったね」と声をかけてくれました。なかなか会場に応援に行けない中でも、結果を気にしてくれていることがとても嬉しく、同時に「次は良かったね」と言ってもらえるように精一杯やりたいと思いました。競技と向き合える環境を与えていただいていることに感謝しています。応援ありがとうございました!