冬期練習・オーストラリア遠征(トレーニング編)
遅くなってしまいましたが、冬期トレーニングの報告をさせていただきます。
私は昨シーズン、決して調子が良いとは言えない状態にありました。
大きなケガもなく、トレーニングは順調に取り組めていたにもかかわらず、棒高跳は何故かうまくいかなかったのです。理由を考える程、頭ばかりが働いて身体が思うように動かず、行き詰まりを感じていました。
そんな状況を打破するために、私は今年の冬期練習では、いつもと違う方法に挑戦してみました。例年は基礎体力の向上と並行して棒高跳の技術練習も行いますが、今年は冬期練習の前半を思い切って基礎体力の向上に全力で取り組む期間としました。特に、走るトレーニングとウエイトトレーニングに集中しました。その成果もあり、動ける身体が作れたと実感しています。


↑200mを全力を出し切った後の姿です。毎週こんな感じでした(笑)
そして技術練習を始めた冬期練習後半戦には、2度オーストラリア・シドニーでの合宿を行いました。
シドニーで合宿を行うきっかけとなったのは、私は7年前にオーストラリアのパースで合宿を行った際に出会ったご夫婦がいます。その方が現在シドニーで陸上競技のコーチをしており、奥様が日本人です。練習環境や語学の面などあらゆるサポートしてくださり、この合宿を実施することができました。
1度目は2月に浅田アシスタントコーチに同行していただきました。
2度目は3月後半から4月にかけて、人生で初めての単身での海外合宿に挑みました。
「考えすぎる」というのが私の課題でしたが、海外という何もかもが異なる環境では、余計なことを考える余裕がありませんでした。
運転中に考え事をする余裕はもちろんない。日常で飛び交う英語は、必死で聞き取ろうしないと何も分からない。普段は日常生活でも勝手に競技のことを考えてしまっていたのが、海外で生活をすることで、自ずとできなくなることが功を奏して、練習中には頭がクリアになっている感覚がありました。
私自身は普段、跳躍練習を週に1〜2回程度行っています。しかし、シドニーのチームでは週に5回も跳躍練習を行う選手もいました。彼らにとって跳躍は特別なものではなく、ごく日常的なトレーニングの一部なのだと感じました。
そうした空気感の練習に加わることで、私の中にあった棒高跳への心理的ハードルが徐々に下がっていくのを感じました。

ある日、風が非常に強い日がありました。
試合ではさまざまなコンディションがあるため、私はどんな状況でも跳躍できる選手でありたいと思っています。しかしその日は思ったように跳べず、少し落ち込んでいました。そんな時、オーストラリアのコーチが「Today was not my day(今日は自分の日じゃなかった)」という言葉を私にくれました。その言葉を聞いて、考え方の違いに衝撃を受けました。そう思っても良いのだと、心が楽になりました。反省するのは必要なことだが、自分を責めてムダなエネルギーを使う必要はないと実感しました。


そうした環境で練習を重ねていくうちに、「大丈夫かも?」と感じる瞬間が訪れました。考える前にやってみよう。段階を踏む方法ではなく、2段飛ばしくらいしてみよう。という気持ちになりました。
安心感が生まれると、力みが取れ、身体の動きも自然と変わります。
海外での合宿を挑戦させていただいたことで、私は負のループから抜け出すきっかけをつかむことができました。
合宿中の跳躍数は、日本でのトレーニング時の3倍に及びました。
シーズンインの直前まで海外で合宿を行い、自信を取り戻すことに努めた冬期練習でした。